
高齢者と言えば、背中が丸い、腰が曲がっている、足取りが重いというイメージですが、とある体操教室では、そのイメージをくつがえすスーパーおばあちゃんたちがいました。彼女たちの背筋はピーンと伸びていて、足取りも軽く、スクワットやペターっと180度開脚、ブリッジまでやっています。
実は彼女たちも足腰の衰えや関節の痛みに悩んでいた普通のおばあちゃんたちでしたが、川村明医学博士*が考案した「ひざ裏伸ばし」運動でここまで若返ることができたのです!
自分はまだそんな年齢じゃないからとスルーしないでくださいね。若くても猫背なら、腰痛や関節の痛みを感じているのなら、それはひざ裏の衰えが原因かもしれないですよ。
そこで今回は、年齢を重ねてもカッコいい姿勢を保ってはつらつと歩くために40代から始めたい「ひざ裏伸ばし」運動をご紹介します。ひざ裏を伸ばせば体幹を鍛えることができ、お腹も引き締めることができるのですよ。
*川村明医学博士:「5秒ひざ裏のばしですべて解決」(主婦の友社)著者
何故、ひざ裏を伸ばすのがいいのか?

年齢を重ねても若々しく見える人は、背筋が伸びていて、まっすぐにスッと立っている、とても素敵な姿勢をしていますよね。一方、顔と首が前に出ていて猫背で姿勢が悪い人は、お腹もポッコリしていて、若くても老けて見えてしまいます。この悪い姿勢をつくる原因が、ひざの裏にあることをご存知でしたか?
ひざ裏の曲り度チェック
川村明医師は、体の不調の元凶がひざ裏にあると指摘しています。若くてもひざ裏が衰えて硬くなっている人がいます。まず、あなたのひざ裏がどのくらい曲がっているかチェックしてみましょう。
床に座って脚を前に伸ばしてみてください。ひざ下と床の隙間が2㎝以上あるのなら要注意です。
ひざが曲がると何が起こる?
ヒトが直立二足歩行の姿勢を維持するためには、体を伸ばして支える力が必要ですが、その力となるのがひざの裏にある膝窩筋(しっかきん)というインナーマッスル(深層筋肉)なのです。
でも加齢や運動不足などにより、ひざ裏の筋肉(膝窩筋)が衰えて縮んでしまうと、ひざの裏をしっかりと伸ばすことが出来なくなります。
ひざが曲がると、太ももの裏側の筋肉(ハムストリング)が縮みます。
縮んだハムストリングに骨盤が引っ張られて、骨盤が後ろに傾きます。
骨盤が後ろに傾くと、背中が丸まるので猫背になります。
首と頭が前に出てきて、ひどくなると顔を上げて前を見れなくなってしまいます。
このような”おばあちゃん姿勢”になってしまうとこんなことが起こります。
- 体幹に力が入らなくなり、腹圧がかからないのでお腹にお肉が集まって、締まりのないお腹になります。
- 腹圧が弱くなると、腰の負担が大きくなり、腰が痛くなります。
- 内臓の血流が悪くなって、内臓機能が低下し胃腸の調子が悪くなります。
- 肩が丸まり首を突き出すようになるので、肩こりや首こりに悩まされます。
- 肩が丸まると、胸が縮むので、肺が十分に収縮できなくなり、呼吸が浅くなり、血流も悪くなります。
- 呼吸が浅くなると、内臓機能や自律神経のバランスが崩れるので、血圧が高くなる、代謝が落ちる、免疫力が低下するなど体調不良が起こります。
「ひざ裏伸ばし」運動の効果
「ひざ裏伸ばし」運動を行って、ひざの裏がしっかりと伸ばせるようになると、姿勢が良くなります。
股関節やひざの関節に痛みのあった人は、痛みが楽になり、関節を動かしやすくなるので可動域が広がり、運動量が増え、筋肉も強化されていきます。
ひざ裏が伸びると、ひざ裏の筋肉が柔軟になるのでひざ裏を通るリンパや血液の流れが良くなり、代謝が上がります。
ひざ裏伸ばしでは、体幹が鍛えられますから、腹筋も強くなり、腰に負担がかからなくなるため、腰痛が改善します。
お腹の肉が引き締められますから、ポッコリお腹が引っ込みます。
筋肉が鍛えられると、脂肪の燃焼が促されて代謝が上がります。
後ろに傾いていた骨盤がまっすぐに立つので、腸の血流が良くなり、老廃物や毒素の排泄力が上がり便秘が改善され、むくみもとれます。
デトックス効果で、新陳代謝が良くなり、加齢臭が消え、肌もキレイになります。
「ひざ裏伸ばし」運動のやり方
以下の3種類の運動を、お風呂上りの体と心がゆったりとしているときに、1日3分毎日続けてください。
時間がないというときでも少なくとも5秒ずつ行って、2週間は続けてみてください。体にちょっとした変化が現れますから、それを励みにそのまま続けて毎日の習慣にしてしまいましょう。
動画をごらんください。19:30までが「ひざ裏伸ばし」体操の解説です。
①ワンツースリー体操、②壁ピタドローイン、③壁ドンストレッチ
出典:名医のTHE太鼓判! 2018年6月11日 【ひざ裏伸ばしで奇跡の改善!?】
この3種類を毎日5分、少なくとも2週間続けてみましょう。
ワンツースリー体操
- 足をできるだけ開いて、つま先を45度外側に向けて立つ。
*あごをひき、骨盤を立て、背筋をまっすぐ保ったままの姿勢を崩さないようにお腹に力を入れていること。 - 息を吐きながらひざを曲げて腰をまっすぐ下におろし、1、2、3と声を出してかぞえながら太ももを3回たたく。
*つま先とひざの方向を同じにする。
*背筋をまっすぐ保ったままの姿勢で腰を下げていくこと。
*できるだけ腰を深く落とした方が効果的だが、慣れていない場合はバランスを崩して倒れる可能性があるので、無理ない範囲で行うこと。 - 息を吸いながら立ち上がるとき、1、2、3と声を出してお尻をたたく。
*上がっていくときも背筋をまっすぐ保ったままの姿勢を崩さないように。 - 2から3を12回くりかえす。
壁ピタドローイン
- 壁に背を向けて立ち、かかと、お尻、肩、後頭部の4か所を壁につける。つま先を直角に開き、内ももに力を入れて左右のひざをつける。
*この姿勢をつくるだけでもツライのなら、かかとを半歩前に出す。
*息を止めないこと。 - 手のひらを壁につけ、息を吐ききる。
- 手の甲を壁につけ、息を吸いながらおへそを壁にできるだけ近づけるつもりで、下腹を思いっきりへこませ、5秒キープ。
*体幹を鍛えるポーズ。 - 2から3をもう一度くりかえす。
壁ドンストレッチ
- 壁の前に背筋を伸ばして立つ。
*腕をまっすぐ前に伸ばして壁にとどく距離をとる - 手を肩幅に開いて壁につけ、左足を前に出し、右足を後ろに大きくひいて息を吸う。
*右ひざの裏をできるかぎりピンと伸ばす。左ひざは曲げる
*腕は肩の高さでまっすぐ前に伸ばす
*まっすぐ壁を見る。下を向かない
*足を大きく開くほど、ストレッチ効果が高まるが、痛みがあるならできる範囲で行う - お腹とお尻に力を入れ、息をフッ、フッ、フッ、フッ、フッと少しずつ吐きながら、壁を5回押す。
*右ひざ裏を伸ばすことを忘れずに
*息はまだ吐ききらないこと - 息を吐きながら、両腕を突っ張らせて壁を押し、右足のかかとを床に強く押し付け、ひざの裏を伸ばした姿勢を5秒キープする。
*5秒で残りの息を吐ききること
*せすじをのばす
*ひざ裏をぐっと伸ばす
*かかとは床に強く押し付ける - 息を吸い、3から4をもう一度くりかえす。
- 右足を前、左足を後ろにして、同様に行う。
まとめ
腰の曲がったおばあちゃんの背筋がピーンとなるという「ひざ裏伸ばし」運動は、年齢を重ねても無理なく簡単にできる若返り運動です。40代の女性はいつまでも若々しく姿勢のよい、柔軟な体でいるために、今からひざ裏を伸ばして足腰を鍛えていきましょう。
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