”満腹と空腹、どちらがいいですか?”と問われたら、”満腹”と答える人が多いと思います。
私たちは食べることを人生の楽しみの一つにしていますし、実際、美味しい食べ物をお腹いっぱい食べると、脳から”幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンが分泌されるのだそうです。
一方、”空腹”というと、”ひもじい”、”みじめ”、”がまん”などのネガティブなイメージがあり、ダイエット中でもなければわざわざ空腹状態になろうなどとは思いません。
でも今回はあえて”空腹”をテーマに選びました。何故なら、空腹には思いもよらないスゴイ健康と美容効果があるからです。
おなかがすいてなくても食べてませんか?
ご存知でしたか? ”空腹”と”空腹感”とはまったく違うということを。
”空腹”とは、胃の中に食べ物がない状態のことで、物理的かつ生理的なことですが、”空腹感”とは、”おなかがすいた”と感じる心理的なことです。
あなたは、朝食をしっかり食べて来たのに、時計がお昼の12時を指しているのを見たら、急におなかがすいてきたということがありますか?
このように胃の中に食べ物が残っていても、”おなかがすいたな、何かたべたいな”と思うのが”空腹感”なのです。
また、朝起きて全然食欲がないけど、”朝食は食べなければいけない”というある種の”教え”に従って、食べることはありませんか?
現代の日本ではこのように本当に空腹になってないのに食べている傾向があり、空腹になる時間がないのです。
”えっ?それがどうしたの?”とお思いでしょうが、空腹の時間がないことが引き起こすデメリットについては後述します。
現代人は食べ過ぎている
ご存知でしたか? 人類の長い歴史においては、人はいつもおなかをすかしているという”空腹状態”が普通でした。現代の日本のように、”飢餓の心配”がなくなったのはごく最近なのです。
昔は魚を獲りに海へ出たり、山へ狩りに行ったり、大地を耕して作物を育てて、穫り入れなければお食事にありつけませんでしたから、獲物をとれなかった日はお腹を空かせたまま我慢しなければならなかったのです。もしかしたら何日も。
このように人々は常に飢えていて、この飢餓状態がいつまで続くのだろうかと心配しながら生活していたわけです。
でも今は、お腹がすいたと思ったら、料理すればいいし、出来合いのものを買いに行けばいいし、出前もあるし、お店に食べに行けばいつでもすぐに食べられるのです。
畑を耕したり、獲物をとるために走り回ったり、遠い海まで舟を出したりという多大なエネルギーを使っても、食べられるとは限らず、おなかをすかせているのが普通だった昔の人たち。
今は自分のエネルギーをほとんど使わずに、楽して好きなものをいつもおなかいっぱい食べられるのが普通の状態。
だから現代人は普通にしていても、食べ過ぎており、摂取カロリーがオーバーしているのです。
しかも、体にとって必要ではない食べ物(スィーツなどの嗜好品)まで食べて余計な摂取カロリーを増やしています。
また普段の食事では炭水化物(糖質)や脂質などの摂取量が多くなってしまう半面、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養が不足してしまうので、栄養が偏ってしまいます。
そして、現代人の食べ過ぎや栄養の偏りがもたらすものは、体重や体脂肪の増加だけではなく、生活習慣病のリスクなのです。
ですから私たちは、日常の食べ方について見直す必要があるのです。
あなたの胃腸は過労気味
あなたは1日3食、お腹いっぱいになるまで食べていますか? 間食とか夜食とかの習慣がありますか?
寝つきが悪い、眠りが浅いなと感じることありませんか? 朝起きたとき、胃がもたれていたり、疲労感が残っていたりしていませんか?
いくつか思い当たるのなら、あなたの胃腸は疲れていると思います。
先に書いたように、現代人は、おなかがすいてなくても食べている傾向があり、日常の活動量よりも多くの食事を食べている、つまり、消費カロリーに対して摂取カロリーを過剰にとりすぎています。
言い換えると、”胃がからっぽになること=本当の空腹状態”の時間がない人が多いのです。
ということは、胃腸にはつねに食べ物がありますので、それを消化・吸収するために胃腸は休むことなく働かなければなりませんから、胃腸はかなり疲れています。
消化不良や胃もたれ、便秘など体調不良があるのなら、胃腸が疲れて働きが鈍っているのかもしれません。
だったら、空腹の時間を作って、胃腸に休み時間をあげる必要があります。
胃腸にはお休み時間が必要
胃腸にはお休み時間をあげる必要があると書きましたが、実は、このお休み時間に、胃腸がやるべき大切な仕事があるのです。
だから正確にはお休み時間とは言えませんが、胃腸は食べ物の消化・吸収のお仕事が終わったら、つぎにお掃除の仕事が待っているのです。
食事をすると胃は、食べ物をおおよそ70~80分で十二指腸に送り出して胃を空っぽにしたら、胃の中のお掃除にとりかかります。
胃の中にある食べかすや古い粘膜をお掃除して外に出すためです。これは体内に余分な老廃物を残して毒素を作らないためでもあり、お掃除をすることによって、次の食事で入ってくる食べ物の栄養を効果的に消化・吸収する為でもあります。
胃は普通でも1分間に3回くらいのペースで収縮運動を繰り返してますが、胃の中が空っぽになった空腹状態の時に最も強く収縮します。
その時にお腹がグーッと鳴りますが、これを”おなかがすいた”から鳴っているのだとか、この音が”食べていいよ”というサインだと思わないでください。
ここで食べたら、また消化・吸収作業が始まってしまうので、お掃除ができなくなってしまいます。
お掃除ができないままの状態とは、ごみがどんどん増えていくことですし、捨てずに放置しておくと腐敗してしまうので、毒素が生まれ、嫌な臭いを放ちます。
これが胃腸の中で起こっている状態とは、嫌な臭いのガスをともなう便秘の状態です。
逆に言えば、体内に余分な老廃物や毒素をためないためにも、空腹の時間を作って胃腸にお掃除時間を与えてあげるべきなのです。
実際、空腹時間を作ることにはこれだけでなく、いろいろとスゴイ効果があります。では、どんな効果があるのでしょうか?
空腹のメリット
空腹になると、サーチュイン遺伝子という”若返り遺伝子”とか”抗老化遺伝子”が活性化します。
そしてサーチュイン遺伝子が活性化すると、細胞内のミトコンドリアの働きが活性化されます。
ミトコンドリアは細胞の中にあって私たちのエネルギーとなっており、細胞を元気にして活力の源となっていますが、加齢によって減少します。
加齢によってエネルギーが減少するということは、老化するということですが、サーチュイン遺伝子によって再びミトコンドリアが元気になると、活力を取り戻すエネルギーを生み出します。
このエネルギーが私たちの細胞を活性化し、壊れた細胞を修復・再生し、古い細胞を新しい細胞に取り換える作業を助けてくれるので、以下のようなありがたい効果をもたらします。
- アンチエイジング効果
- 血流が良くなる
- 基礎代謝がアップ
- 新陳代謝が活発化する
- 疲労回復効果
- 美肌効果
- 免疫力アップ
ですから、私たちは胃腸を休ませるためとか、老廃物を排出するためだけではなく、元気に活動していくエネルギーを得るためにも、空腹の時間が必要なのです。
空腹時間のつくり方
この飽食の時代において、すぐに何でも好きなものを食べられる状況にあって、空腹の状態を作ることは難しそうです。
何故なら、私たちは常に美味しいものを食べたり、お腹をいっぱいにして、”幸せ”を感じることを求めているからです。
ダイエットでもしない限りは、お腹をすかすことなど辛くて耐えられません。わざわざ嫌なことをしたくありません。
この状態からいきなり、”飢える”状態になると大変なストレスを感じてしまうので、逆に食べ過ぎてしまうという結果になりかねません。
そこで提案したいことは、無理をせずに少しずつ空腹時間を作っていくことです。
このようなことからトライしてみてはいかがでしょうか?
- 普段の食事を腹八分目にする
- 間食や夜食をやめる
- 夕飯を午後8時前に終わらせる
- 朝ごはんを食べないか、果物だけにする
- 1日2食にする
- 1か月に1度週末だけ断食する
やりやすいのは夜8時以降食べないということです。そうすると朝ごはんのときにお腹がすききっているので、朝ごはんが美味しく食べられます。
胃腸のお掃除がうまく行っていると、便秘も解消されますから、午前中に排便できます。そうする朝からすっきりとした気分で一日をスタートできます。
一度だけでも、空腹の爽快感を味わえばあとは割と簡単に空腹時間をつくることができるようになります。
まず、できそうなことから始めてください。
まとめ
いかがでしたか? 私たちは普通に食べていても食べ過ぎていることや、胃腸を酷使していることは驚きでしたね。胃腸もいたわってあげる必要があるということですね。そして空腹の時間をつくれば、若返る、元気になる、病気のリスクを回避できる、健康になるなどメリットがいっぱいありましたね。これからは必要なものを必要なだけバランスよく食べれるようにしていきましょう。
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