パンもパスタも食べないグルテンフリーな食事の効果

健康志向の高いアメリカ人の間で以前から注目をあびていた「グルテンフリー」の食事法ですが、海外セレブたちが「グルテンフリー」でダイエットに成功したことや、テニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手がスランプから復活したことなどで日本でも急激に広まってきました。

もともと米が主食だった日本でも近年はパンを食べる人が増えてきたことで、グルテンによる影響が多少ならずとあるようです。

でも、そもそもこの「グルテン」っていったい何なんでしょうか? 

そこで今回は、「グルテン」が私たちの体に与えている影響についてご説明いたします。そこから見えるグルテンを抜いた「グルテンフリー」の食生活にはどんな効果があるのでしょうか。

グルテンとは?

グルテンとは、小麦、大麦、ライ麦などの穀物に水を加える過程で生成されるタンパク質の一種です。グルテンの語源はglue(グルー)つまり、糊(のり)のことで、パンの粘り気や弾力の素となっています。

パンやパスタはもちろん、麦からつくる食品のすべてにグルテンが含まれているので、ピザ、ラーメン、うどん、クッキー、パンケーキ、お好み焼き、中華まんや餃子の皮、ワンタン、揚げ物の衣にもグルテンが含まれています。

しょうゆやドレッシングなどの調味料やカレールーにも製造過程で小麦粉が使われています。ビールや麦茶はもちろん麦から出来ています。麩(ふ)とかクスクスも麦製品なので日本人の食文化の中にすっかりと小麦製品が定着しているという感じですね。

しかし、このグルテンはアレルギーを始め体に悪い影響を与えているということから、麦を使わない「グルテンフリー」の製品が作られるようになりました。

グルテンフリーの食事が注目される理由

小麦は1万年も前から栽培が始まったと言われており、西洋人はこれほど長い年月小麦粉製品を食べているのに何故、最近急にグルテンフリーの食事法や、グルテンフリーダイエットが注目されているのでしょうか?

どうやら、小麦そのものの品質の低下が、人間の体に様々な不調を引き起こしているのではないかということなのです。

何故なら昔の小麦と今の小麦とは品質がまったく違っており、現代の小麦は遺伝子組み換えされた新しい品種となってしまったのです。

しかも、昔よりはるかに多くの農薬や防腐剤が含まれているのです。

それゆえ、小麦粉製品を食べるとアレルギー反応を起こしたり、体調が悪くなる人が増えてきてしまったということなのです。

日本でも急にグルテンフリーダイエットが注目されたのは、体重を減らすためのダイエットに加えて、体調不良やアレルギー反応を回避したいというニーズも合わさって広まっているのではないでしょうか。

ではグルテンがどのように体に悪影響を与えているのでしょうか?

グルテンアレルギー

これまでは日本人の主食はお米だけでしたが、現代はパン、パスタ、麺類など小麦粉製品も主食として食べられるようになってきたことから、小麦粉製品を食べてアレルギー反応を起こす人も増えてきました。

そして小麦粉製品を食べてアレルギー反応があるというのはつまり、小麦のたんぱく質に含まれるグルテンに反応を起こしているということが分かりました。

小麦製品を食べた後に、以下のような症状が出た場合は、グルテンにアレルギーがあるということかもしれません。

  • 皮膚がかゆい
  • 皮膚に赤いぽつぽつが出る、じんましんが出た
  • 皮膚がはれ上がっている
  • 目の周りがはれ上っている
  • のどがイガイガする、のどがかゆい
  • 呼吸が苦しい
  • くしゃみが出る
  • 鼻水が出る
  • 腹痛
  • 下痢

また、日常的に頭痛やめまいが続く場合や、倦怠感や情緒不安定も、グルテンアレルギーだと疑われるそうです。

脳の働きを鈍くする

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アメリカの精神科医で、脳障害の専門家のダニエル・エイメン氏の研究により、グルテン、コーン、乳製品が私たちの脳の認知的予備力(brain reserve/cognitive reserve)を奪うということがわかってきました。*1)

「認知的予備力」とは、脳組織を守るクッションのようなもので、予期できないストレスや、脳のケガなどによって受ける脳への損傷に耐えうる認知機能の力のことです。*2)

この「認知的予備力」の強さは人それぞれ違っています。同じようなストレスがかかっても、割とすぐに回復できる人もいれば、ずっと落ち込んでしまう人がいるのは、この認知的予備力の強さの違いによるものです。

また、歳をとるにつれて、脳の動きが鈍っていき、記憶や認知する能力に問題が起きてきますが、この「認知的予備力」を鍛えることで、記憶障害や認知症を予防することが出来るとも考えられています。

反対に若いうちでも「認知的予備力」を弱めてしまうこともありますが、その原因となるのは以下のものです。

  • 慢性的なストレス
  • ネガティヴな思考
  • 脳の損傷
  • アルコール中毒
  • 麻薬中毒
  • ファストフードの食べ過ぎ
  • 甘い飲料、特に甘い炭酸飲料の飲み過ぎ
  • 睡眠不足
  • 運動不足
  • 過労

ということはもしかしたら、上記のような要因に加えてグルテンをたくさん摂取してしまう外食中心の食生活をしていると、ますます脳の働きを鈍くしてしまうので、記憶障害や認知症になってしまうかもしれません。

パスタ、ピザ、サンドウィッチ、菓子パンなど普段から小麦製品で作られた食事をしている人や間食にスナック菓子、パンケーキまたはお好み焼き、たこ焼きなど粉もの好きの人は、注意が必要です。

グルテンはやめられなくなる?

普段の食事で、お米はほとんど食べず、パン、パスタ、ピザ、ラーメン、うどんなど小麦粉製品ばかり食べている方はもしかしたら、グルテン中毒になっているかもしれません。

実は、グルテンには、食欲中枢を刺激する作用がありますから、パンを食べれば、ますますパンを食べたくて仕方がなくなるのです。

「いつものパン」があなたを殺す』デイビット・パールマター(著)、クリスティン・ロバーグ(著)を翻訳した白澤卓二教授によると、グルテンは強い依存症を引き起こすということです。

グルテンにはまた、強い依存性がある。グルテンが胃で分解されると、アヘンに似た作用を持つ「エクソルフィン」という物質に変わる。それが脳の“関門”をするりと突破し、脳内に入り込む。すると「おいしい!」「最高!」という恍惚感を生み、依存性を引き起こす

炭水化物や糖質抜きダイエットに成功しにくいのは、小麦粉製品を食べたくて我慢できなくなる禁断症状のようなものが現れるからなのではと思います。

これまで見てきたように、日常生活の中で、喉がイガイガする、鼻水が出る、皮膚がかゆいとか、疲れがとれにくいなどの「なんとなく不調」や「プチ不調」と言われる現象や、ダイエットしているのに炭水化物や糖質の多い食事をやめられないのなら、グルテンが何らかの影響を体に及ぼしていると考えてもいいのではないかと思われます。

ではもし、グルテンフリーな食生活をしたらどんな効果が現れるのでしょうか?

グルテンフリーの効果

「グルテンフリー」を日本で有名にしたジョコビッチの生まれ変わる食事」の著者、ノバク・ジョコビッチ選手の経験からグルテンフリーの効果についてみていきましょう。

ジョコビッチ選手のグルテンフリー効果

男子テニスの世界ランキング1位になった、ノバク・ジョコビッチ選手は、自書「ジョコビッチの生まれ変わる食事」で自分の食事からグルテンを排除することにより体も心も劇的に変わった経験を書いています。

以前、ジョコビッチ選手はテニスのプレイにまれがあり、コンスタントに良い結果が出せないため、自分よりも強い2人のプレイヤーを倒して1位になることができず、苦しんでいました。

しかし彼が血液検査を受けたところ、彼にはグルテンと乳製品にアレルギーがあることを知りました。そして今の不調やコンスタントに良い成績が出せないことは、小麦製品(グルテン)と乳製品が体に合わないことを知らずに食べ続けてきたことが原因だったということを知らされたのです。

そこでグルテンと乳製品を排除する食事の仕方に変えたところ、肉体が強靭になったばかりではなく、脳の働きがよりスムーズになり、動きが速くなったことで、ジョコビッチ選手はこれまで勝てなかった2強を倒して、1位になることができました。

それにしても、ジョコビッチ選手は、子供のころから食べていた小麦製品が自分の不調の原因となっていたことに気がついたことにショックを受けたことと思いますが、おそらく同時にこれらの不調の原因はグルテンにあったということが分かって納得することも多かったと思います。

ジョコビッチ選手の復活を見ますと、”自分の体調不良はもしかしたらグルテンのせい?”かどうか知りたくなりますよね。

グルテンフリーの効果を試してみる

では、パンやパスタなどの小麦製品を食べることが自分の体調不良の原因となっているかどうかを知るにはどうしたらいいのでしょうか?

手っ取り早いのは、試しに2週間ほどグルテンフリーの食事をしてみることです。体調が改善されたら、グルテンに反応していると考えられます。

グルテンフリーはダイエットにも効果的ですので、ダイエットの意味も含めてグルテン抜きの食べ方をやってみてはいかがでしょうか?

パンをやめられないなら、グルテンフリーダイエット

私の経験で言いますと、ダイエットのためにパンやパスタなどの小麦粉製品をかなり制限したところ、いままで毎朝たんや鼻水がでていたのですが、それがピタッととまりました。慢性的な頭痛も止まりました。ダンスの振付が覚えやすくなったことからもしかしたら認知的予備力も鍛えられているのかなと思っています。

まとめ

グルテンは私たちが日常でよく食べている小麦粉製品に含まれていますが、大昔の小麦と今の小麦とは品質がまったく違うためにアレルギーを起こしたり、体や脳にいろいろな影響があると考えられています。小麦粉製品好きでしたら、また、特に不摂生していないのにプチ不調が続くのなら、2週間の小麦粉製品断ちをしてみたらいかがでしょうか。ジョコビッチ選手のように生まれ変わる思いになれるかもしれませんよ。

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(1),(2) The Daniel Plan “Healthy Brain, Healthy Life” by Daniel Gregory Amen

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