
「砂糖中毒」と聞いて、”スィーツ好きじゃないから関係ない”とお思いになったかもしれませんが、砂糖が加工食品や市販のパン、総菜パック、缶詰、ドレッシング、エナジードリンク、ファストフードなどにも入っていることをご存知ですか?
こうして甘くない食品のなかにも砂糖がひっそりと使われているので、知らないうちに砂糖摂取量が増えてしまうのです。
”それがどうした?”とお思いでしょうが、もしもあなたが、疲れたときやストレスが溜まったとき、イライラしているときに甘いものが食べたくなるとか、日常の食生活を加工食品に頼りがちとか、毎日同じようなものを食べるというのであれば、砂糖依存症または「砂糖中毒」になっているのかもしれません。
実は日本人の9割以上が「砂糖中毒」と言われていますし、糖尿病も年々増えて行ってる現状があります。
そこで今回は、スィーツ好きの人に限らず誰もが注意しておきたい「砂糖中毒」についてご説明いたします。
この記事の目次
砂糖って何者?
私たちのごく身近に存在する砂糖で中毒になるとは信じられないと思うかもしれませんが、一方では、コカインよりも依存性が強い「白い麻薬」とも言われているのです。
それは砂糖のもつ性質のせいなのですが、その性質は砂糖がつくられる過程において出来上がってくるのです。
白砂糖はどのようにして作られる?
私たちが「砂糖」と呼んでいるものは、「白砂糖」のことで、甘味料であり食品添加物の一つです。
原料のサトウキビやテンサイを粉砕、圧縮して甘い汁をしぼり取り、何度も精製加工して行って、最終的に白い結晶となります。
ただ、残念なことに、原料に含まれていたビタミンやミネラル、食物繊維は精製することによって失われてしまいます。
また、苛性ソーダや硫酸という劇薬を使って精製処理されますので、人体に対する影響が懸念されています。
砂糖の種類は、黒砂糖、和三盆、ザラメ糖(グラニュー糖)、車糖(上白糖・三温糖)、加工糖(角砂糖・氷砂糖・粉砂糖)がありますが、どれも上記の化学物質を使って精製されて作られています。
つまり、砂糖は天然の食物ではなく、人工的に作られた食品添加物として考えるのが妥当だと言えます。
砂糖と果糖は全く別の物
果物に含まれている果糖も砂糖と同じものとして考えられてしまいますが、それは誤解です。
砂糖と果糖の違いを簡単に説明するのなら、天然の甘味が果糖、人工的に作られた甘味が砂糖です。
果糖は果物を生でそのまま食べることによって私たちの体に入るので、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの大切な栄養素も一緒に摂ることが出来ます。
でも、砂糖は原材料のサトウキビやテンサイの形のままで食べることはないく、砂糖の結晶にするまでの精製過程において、ほとんどの食物繊維や、ビタミン、ミネラルを失ってしまいます。
そうなのです。砂糖にはほとんど栄養がないということが、両者の決定的な違いであり、果糖と砂糖とは全く別物と言えるところなのです!
したがって、果糖を摂ることで依存症になることもなければ、体に害となる化学物質をとることもありません。
しかも、豊富な食物繊維のために血糖値を急上昇させることがないので、果糖を摂って太ることはありません。
砂糖はこんなものにも入っている
スィーツを食べてなければ、甘くない食品であれば、砂糖中毒にならないと思っているのなら、砂糖中毒の落とし穴にはまります。
特に日常的に加工食品など出来合いのものを食べているのなら要注意です。
また、いつも同じようなものを食べてしまう、無性に食べたくなってしまうというような食品があれば、それは中毒になっている可能性があります。
砂糖が使われている身近な食品をリストアップしましたのでご覧ください。
1.加工食品
食品に何らかの加工を施したものを総じて加工食品と言います。その種類は広範囲にわたっています。
肉加工食品、水産練り製品、乳加工食品など。
冷凍食品、レトルト食品、缶詰食品、インスタント食品、お惣菜パックなど。
2.調味料、ソース、つゆ類
ソース、ケチャップ、麺つゆ、焼肉のたれ、ポン酢、マヨネーズ、ドレッシングなど調味料の中にも砂糖は使われます。
また、カレールウ、シチューのルウ、パスタソース、トマトソースなども砂糖が入っています。
調理するときの味付けにおいても、出来合いの調味料を使わず自分で調味料を混ぜ合わせましょう。
砂糖の代わりとなるのは、みりんやはちみつ、メイプルシロップです。
3.パン、シリアル、グラノーラなど
菓子パンでなくても、食パンにも調理パンにも砂糖が使われています。また一見ヘルシーに見えるシリアルやグラノーラにも砂糖が使用されています。
4.見落としがちな砂糖入り食品
牛乳よりもヘルシーだと豆乳を飲むというのはいいのですが、調整豆乳には砂糖が使用されています。成分無調整豆乳を選びましょう。
果物・野菜100%のジュースやスムージーでも市販のものには砂糖が加えられていますので避けましょう。ですから、ジュースやスムージーは自分で作って酸化しないうちにすぐに飲みましょう。
ドライフルーツは、砂糖不使用で添加物を一切加えてないものならOKです。
また、ダイエット食品の中にはカロリーは抑えてあっても砂糖が使用されているものがありますので要注意です。
人工甘味料は砂糖よりもタチが悪いものですから、人工甘味料入りのを食べるくらいなら多少の砂糖入りの方がましです。
5.ファストフード、コンビニ弁当、パック寿司
ファストフードは加工食品を店頭に出しているものと思ってください。
コンビニ弁当やときには弁当屋さんのお惣菜にも加工食品が使われています。
また、パックで販売しているお寿司の酢飯にも砂糖が使用されているので避けましょう。
外食でお店を選ぶときも要注意です。加工食品のおかずや出来合いのソースなどを使って料理が作られている場合があるからです。
まだまだリストアップできますが、キリがありませんのでこの辺にします。
とにかく、市販の食品には砂糖が入っているものと思って、買い物するときに成分表示を良く見る癖をつけてください。
なお、白い砂糖でなければ砂糖中毒にはならなという訳ではありません。どんなに名称が違っていても、砂糖には変わらないのです。
黒砂糖、和三盆、ザラメ糖(グラニュー糖)、車糖(上白糖・三温糖)、加工糖(角砂糖・氷砂糖・粉砂糖)という種類がありますが、どれも上記の化学物質を使って精製されて作られているので、どれにも依存性や中毒性が存在します。
砂糖中毒とは?
太ると分かっているけれども、スィーツだけはどうしても我慢できない・・・。
チョコを食べると疲れが溶けていくみたいな気がする・・・。
ストレスを感じたときに飲むと何故か落ち着く甘ーいドリンク・・・。
これは明らかに砂糖に依存している状態ですから、砂糖中毒になっている可能性が大きいです。
また、肥満、糖尿病、虫歯など分かりやすい砂糖中毒の症状だけではなく、以下のようなことが起こっているのなら、それは砂糖中毒のせいかもしれません。
些細なことでイライラする、すぐキレる、うつ状態になる
疲れやすくなる、疲れがなかなか取れない、やる気がでない、忘れっぽい
顔や体の肌が乾燥する、湿疹がでるなど。
また、偏頭痛も甘いものの食べ過ぎによって引き起こされるようです。
あなたの頭痛は食べ物のせい?甘いものを控えると偏頭痛が消える?
砂糖中毒の原因
砂糖入りの食品を食べずにはいられなくなることが砂糖中毒ですが、その原因は砂糖を摂り過ぎているのに、体が低血糖の状態になってしまうことです。
では、低血糖の状態とはどういうことなのでしょう?
砂糖を過剰摂取すると、血糖値が急激に上がりますので、脳が危険を察知して、すい臓からインスリンを大量に分泌するよう命令します。
インスリンが大量に分泌されると、血糖値は急降下しますから、低血糖状態になります。
低血糖状態になると、脳がエネルギー不足になります。
脳はエネルギーが足りないのは空腹だからと思い違いをするので、私たちに ”急いで甘いものを食べて血糖値を上げなさい” と訴えます。
それで私たちは甘いものが欲しくなって、また食べてしまうので、血糖値は急に上がったり下がったりを繰り返してしまいます。
そして再び脳から食べろという命令がくるという悪循環になってしまい、いつも甘いものを欲してしまう砂糖中毒になるのです。
しかも、大量に摂取してしまった糖は脂肪として体内にため込まれてしまうというおまけつきなのです。
なお、果物をたくさん食べて果糖を摂取しても、果物に食物繊維が大量に含まれているおかげで、血糖値は穏やかに上昇していきますから、インスリンの大量分泌も無ければ、低血糖状態になることもなく、太ることもありません。
砂糖はニセの幸せ感を与える
スィーツを食べると、そのおいしさに幸せを感じたり、満足したりします。
疲れたときに甘いものを食べると、疲れた取れたような気がしたり、ほっと安心したりします。
ストレスを感じたときにも甘いものを食べれば、癒されたり、落ち着いたりします。
このような現象が起こるのは、砂糖を摂ると、脳から幸福感や癒しを与える、ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンなどの脳内神経物質が分泌されるからです。
それゆえ、私たちはこのような快感、癒し、満足感、安心感や幸福感を得ようとして、砂糖を摂るようになってしまうのです。
快楽を得ようと砂糖に依存するとは、まるで麻薬のようなものですね。
実際、砂糖は白い麻薬とも呼ばれていますし、砂糖への依存性はドラッグよりも強いとも言われているのです。
”デザートは別腹”になるワケ
砂糖には栄養がほとんどないので、甘いものを食べても食べても、脳が栄養不足だと判断してしまいますから、”もっと食べなさい”という信号を私たちに送ります。
これは白米や白パン、うどん、パスタなどにも言えることで、このように栄養価が失われてしまった食べ物のことを「エンプティカロリー食品」と呼びます。
つまり、エンプティカロリー食品をいくらたくさん食べても、お腹を膨らませているだけで、栄養的には満たされないため、脳が満足しないのです。
よく”デザートは別腹”と言いますが、メインの食事でお腹がいっぱいなのに、結構ボリュームのあるデザートを平らげてしまうことが出来るのは、このためです。
つまり、エンプティカロリー中心のメイン・ディッシュでは脳は満足できていないので、”もっと栄養が欲しい”と訴えて、”別腹”で栄養があるものを食べさせようとするのです。
しかし”別腹”に入ってきたものは、またしても栄養が不足している甘いものでした。なので、脳は、次回の食事でなんとか栄養を摂ろうと、再び”栄養が足りない”と訴えるわけです。
でも恐ろしいことに、砂糖はわたしたちに、”脳は’もっと甘いものが食べたい’と言っているよ”と、脳の訴えを誤解させてしまうのです。
ですから甘いものを食べても食べても欲しくなるという悪循環になってしまうのです。
まとめ 砂糖は必要ない?
いかがでしょうか? 砂糖には栄養がほとんどないばかりか、血糖値の乱高下を引き起こして、肥満や糖尿病を引き起こしてしまいます。
そんなリスクを冒してまで、砂糖を摂るべきでしょうか?
もちろん甘味は、味覚の一つとして大事なものですし、料理を楽しむ上で必要ですが、甘味を砂糖から摂る必要はないのです。
甘味は、果物に含まれる天然の果糖から、新鮮な野菜や穀類などの糖分から十分に摂ることができるのです。
しかもこのような天然の甘味を味わうことが出来ればその美味しさゆえに、砂糖の甘味がとても人工的だということが分かるようになります。
便利だということだけで、加工食品を毎日食べたりせず、極力、自分で食材を料理するようにしましょう。
次回は、砂糖中毒の克服法についてご説明いたします。